キャットハウス Cat house

原宿のキャットストリートに面した旗竿敷地に建つ一棟貸しの賃貸物件をオフィスへと改修した。施主からは一棟貸しならではの一体感のある空間に、交流スペースと作業スペースを作って欲しいと要望をもらった。
そこでまず各層の床を抜き、4層の建物を下階のパティオと上階のアトリエからなる2層の空間に読み替えた。既存のトップライトから落ちる日光を地下まで届けるため、パティオとアトリエを分ける床には既存の根太を利用したストライプ状のガラス床を設けている。上空を横切る雲に合わせて屋内全体の明るさが刻々と変わり、家具や人の影が揺れ動き、パティオの天井全体は水面のように移ろい変わる。アトリエからも半透明のガラス床を通してパティオの様子が感じられ、4層でありながら、どのフロアからも空と地面が感じられるワンルームのような空間に変えた。
建て替えが困難な旗竿敷地に建つ一棟貸しという条件から、物件オーナーが保存してきた屋内外の装飾には手を加えず、歴代の借主が貼り増してきた仕上材をはがし取ったうえで各層の床に穴を開け、光環境や階同士の距離感を調整した。
既存建物にとってこの改修が、キャットストリートで再び時間を積み重ねるための新しい振り出し地点となることを目指した。

用途:オフィス|構造:木造一部鉄筋コンクリート造|延床面積:231.92 m2|共同設計:山野井靖建築事務所|施工:BEANS ltd.|写真:西川公朗




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